湿板写真の手順
湿板写真を行うにはどのような工程が必要なのか?
その作業工程を簡易的にご紹介するのがこちらのページです。
アナログ的技法の写真の大半は薬品は異なるものの、大まかな作業工程は近いものになります。それが現像、停止、定着という工程です。
今回ご紹介する作業は工程をお見せするすることが目的のため、暗室で行う作業も明るくして撮影しています。
ですので、この作業はあくまでも手順紹介であり、この通りに作業することで確実に湿板写真が撮影できるということを提示したものではないことをどうかご了承ください。
また、湿板写真の作業工程は制作者により大幅に違います。
フィルムを作る1
湿板写真はフィルムを自身で作り撮影する技法です。
フィルムの元になる薬品を調合し、およそ一ヶ月ほど熟成させた薬品をガラス板に均一に、薄く流していきます。
フィルムを作る2
フィルムを作る際、できるだけ四隅に薬品が溜まらないようにすることがコツです。
その後、暗室下でフィルムになるための薬品と合わせていきます。
フィルムを作る3
これが出来上がった(フィルムになった)状態です。透明に近い状態だったガラス板が乳白色の不透明へと変化しているのが特徴です。
出来上がったフィルムは乾かないうちに暗室下で速やかに光に当たらないようホルダーにセットします。
撮影1
ホルダーの目的は撮影する前に必要のない光に当たらない状況を作ることと、カメラにセットし適切な状況下でフィルムに光が当たり撮影できるようにすることです。
ホルダーはカメラにより形状が異なり、必要な場合は自作することがあります。
撮影2
決まった場所へ行き、構図を調整します。(屋外も可能)
構図の調整はカメラやモデルさんの位置調整で、ピントは蛇腹の伸縮で調整します。
撮影3
大昔のレンズにはシャッターの機構がありません。
それは湿板写真などの写真技法は数秒間ほどの長時間露光が基本的に必要なためです。
レンズについている蓋の開け閉めを手で行うことによりシャッターを切ります。
現像
撮影したフィルムはホルダーに入れた状態で暗室へと持ち帰り、写った写真を薬品で見えるようにする作業(現像)を行います
停止
停止とは現像液を浴びせ放置したままだと現像が進んでしまう状態を停止させる工程です。
像が浮かび上がり、適切な現像の状態で蒸留水を全体に浴びせます。
定着1
停止を行った状態では黒い布にガラス板を敷いてもポジに反転することはありません。それは余分な薬品が本来黒になる部分に乳白色の状態で残っているためです。
定着液に適切な時間浸漬することで還元させます。
定着2
定着液に浸漬する際、定着液が入った器が黒い場合は非常に面白い現象を見ることができます。
乳白色の部分が消えていき、次第に写真にポジ像が浮かび上がっていきます。
定着3
完全に乳白色が消えたら定着は終了。
定着液を綺麗に水洗し、乾燥処理して出来上がりです。
完成
世界に一枚だけの写真の出来上がりです。
長期保存を望む場合はバーニッシュなど後処理を行います。